5月1日(日)

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      ナット(The Nut)   
ナット
この日は朝食を食べてすぐ,奇岩ナットに挑みます。
何でもタスマニアのエアーズ・ロックと言われているらしい
ですが,ガイドのN氏曰く「それは言い過ぎだろ」とのこと。
(写真は翌日撮影したものです)

山の下のリフト乗り場に到着しましたが,まだ朝早すぎて
リフト乗り場動いていません。天気も悪いのですが,歩いて登っても
15分くらいらしいので,歩いて登ります。
Nut Rock Cafeんっ?! これはよく見たら
Hard Rock Cafeのパクリですね。
まぁいいか。
パディメロンおやっ!こんなところにパディメロンが,雨にぬれて
ちょっとグチャグチャですけど,可愛いですね。
ちなみにパディメロンは一番小型のカンガルーの仲間
で,もちろん有袋類です。
大きい順に カンガルー> ワラルー>ワラビー>パディメロン と分かれます。
急勾配さぁ,登ろう!
しかし物凄い急こう配。。。
途中で女性が一人音を上げていましたが,
構ってられないのでドンドン登ります。
上に着くと,平坦な草むらが広がっています。
おっ,今度はワラビー発見。
パディメロンより少し大型でタスマニアでは
ベネット・ワラビーという種類を見ることができます。
しっかりタスマニアン・パディメロンもいます。
顔はパディメロンの方が可愛いですねぇ。
スタンレーの町並み
ナットから見るスタンレーの町並みですが,
砂洲の先にできた町ということがわかるでしょ?
 オットセイ観察クルーズツアー(Stanley Seal Cruises) 
ナットから下りた後は,直ぐ横の港に行き,船に乗ってオットセイ観察クルーズです。
雰囲気満点の船頭のおっちゃんと,アシスタントのおねえさんが案内してくれます。
クルーズ船船頭のおっちゃんとアシスタントのおねぇさん
ブルーロック
海からぐるっとナットを回り込んだところにある,
ブル・ロック(Bull Rock)と呼ばれる岩がオットセイの
一大生息地になっており,その岩の上は見渡す限り
オットセイで埋め尽くされていて,海の中でも沢山の
オットセイが泳いでいます。
泳ぐオットセイ明らかにこっち見てますジャンプ!!
ハーレムこの岩の上で雄は多数の雌を侍らせハーレムを
築き繁殖を行います。繁殖期はやや過ぎていたため,
ハーレム全盛というわけではありませんが,
至る所に雄を頂点としたハーレムが残っています。
また,繁殖後ということで子どものオットセイも
相当数観察することができました。
ナット

海側から見るナットも迫力あって良いですね。

ラザニア?
オットセイ観察を十分に楽しんだ後は,
港の近くにある「Touchwood Cafe」で昼食です。
 ビック・ツリー&ディップ・フォール(Big Tree & Dip Falls) 
午後はスタンレーの南東,国道C225線の突端付近にある,ユーカリの原生林と滝を目指します。
天気も悪く森の中は薄暗いのですが,雨に濡れた緑というのは何とも言えない深く美しい色です。
森の入口付近にはマンファーンと呼ばれるシダの仲間がありました。
何でも太古の昔から続いている植物だとか。
マンファーンマンファーン
スワンプ・ガム
この森は巨大化したスワンプ・ガム(Swamp gum)という
ユーカリの原生林ですが,数十m級の木があちらこちらに。
このあたりの土壌は酸性のため,元々他の植物が育ちにくい環境らしいのですが、そのような環境下でも耐性のあるユーカリが王国を築いているわけです。そして,その土壌が故,細菌が繁殖しにくく倒木となっても分解されず,
いつまでも腐らずに残っています。
スワンプ・ガム
この森では日本の森で良く見かける腐葉土等というものはありません。
従って,森としての新陳代謝は山火事によって行われるそうで,
油を良く含んでいるため延焼が早く,オーストラリアでの
山火事被害が拡大するのは大体こいつが原因。
さらに他の植物が燃えてしまっても,ユーカリは一皮剥いて
結構生き残っていくそうです。
ガイドのN氏曰く,ユーカリは我儘でやりたい放題な木だそうです。
すごいですね。
ディップ・フォール

この原生林の近くにブラック川(Black River)の支流に当たる
ディップ川(Dip River)に滝があるので見に行きました。
この辺りの水は茶色なんですね。
紅茶のにも含まれるタンニンという成分由来のようです。
 ウールノース(Woolnorth)
ウールノース次はいよいよ,この日のメインイベントといえる
ウールノースです。
場所はタスマニア島北岸の一番西に位置し,
スタンレーよりA2号線を西に向かい,
スミストン(Sumithton)よりC215線をさらに北西に向かって
走った突き当り付近で,私有の広大な牧場が広がります。
私有地のため,入口ゲートで別のツアー車に乗換え,
現地の老夫妻に案内して頂きます。
       
 風車群とグリム岬(Cape Grim) 
風車群まず,最初に向かったのは風力発電の風車群。
これだけ,風車があると壮観ですねぇ。
見上げると目が回りそうになります。
この巨大な羽。




日本は原発事故で自然エネルギーへの回帰という世論が高まる中,
奇しくもこの風車群を訪れたわけですが,ローリング・フォーティーズ
(Roaring Forties)と言われる,南緯40〜50度はただでさえ強い偏西風が
吹いている地帯で,風力発電には適しています。
グリム岬この後,養毛所に立ち寄った後,連邦気象局の空気観測所があるグリム岬まで移動して日没を観察しました。
タスマニア島の西側には南アメリカ大陸まで何も遮る物が
無く,ここに吹く風は不純物の少ない非常に綺麗な空気と
言われています。
看板


        気象局の看板には位置関係が説明されています。
CAPE GRIM WATER
大気に不純物が少ないため雨水ですらそのまま飲めるらしく,
お土産として販売しています。
実際買って飲んでみましたが普通に美味しい水でした。
しかし,ガイドのN氏が老夫妻をそそのかして作らせた
「空気の瓶詰め」は全く売れていないとか?!
 タスマニアデビル!! 
日が暮れてきました。いよいよこのツアー最大の見せ場であるタスマニアデビル観察の時間です。
ガイドのN氏も初めての試みらしく,会えるかどうか100%の自信があるわけでは無さそうです。
OGビーフかつて牧場の責任者が寝泊まりしていたという,
ディレクターズロッジに向かいます。
ここで窓の外に餌を仕掛けておくと,タスマニアデビルが
現れるらしいのですが,カーテンも全部閉めて,家の光が
漏れないようにして,私達は夕食のOGビーフのステーキを
食べながら,ゆっくり待つというわけです。
クウォール食後のコーヒー等飲みながら,部屋を行き来していると,隣の部屋の窓から何か見えます。クウォール(フクロネコ)が,餌に釣られて出てきたようです。クウォールもタスマニデビルと同じく肉食の有袋類で,うまく写真は撮れていませんが,体の特徴である斑点は何とかわかるかな?この辺りでは良く見ることができるそうですが,かつてはオーストラリア全土で広く分布していたそうですが,西洋人の入植後随分と数を減らしたそうです。
暫く,皆で歓談していると,ギャー・ガルー・グアーっと何やら恐ろしげな鳴き声が。。。
これが噂に聞いていたデビルの鳴き声かぁ。
ガイドのN氏曰く,彼らが餌に夢中になるまでは我慢して,頃合いをみてカーテンを開けるとのこと。
そしていよいよ,その時は来ました。オープン・ザ・カーテン!!!
タスマニアデビルたちこれはスゴイ! 餌に群がるタスマニアデビル。
もう餌に夢中で,こちらのことを気にしていませんし,
仲間どおしで喧嘩しまくり。さらには暗闇の中
遠巻きに何匹か様子を伺っているのが確認できます。一息ついた個体が離れるとどこからともなく新しい個体が現れ餌に食らいつくという感じで,まさかこれ程沢山のタスマニアデビルを見ることができるとは思いませんでした。
野生のタスマニアデビルは仲間どおしで喧嘩して
噛み合ったりするので,結構顔が傷だらけです。
ここ最近DFTD(Devil Facial Tumour Disease:
デビル顔面腫瘍性疾患)という伝染性の癌で
急激に数を減らしてタスマニアの真ん中より東は
ほとんどいなくなっているみたいですが,
これだけ噛み合ったら伝染しやすいだろうなと
思います。

約一時間でセッティングされた餌は骨や皮まで跡形もなく消滅。素晴らしい破壊力です。
 
十分にタスマニアデビルを堪能した私達ですが,すっかり夜になってしまいました。
宿のあるスタンレーに戻らなければいけませんが,夜道の運転は野生動物との衝突事故のリスクが非常に高い。入口ゲート付近で元の車に乗り換えるわけですが,元WRCドライバーのガイドN氏も
心なしか緊張しております。確かに動物を見に来て,帰りに轢き殺しては洒落にならないからねぇ。
そして・・・実際帰りのC215線は野生動物とその死骸だらけという状態で,道路を歩くワラビー,
ウォンバットそしてタスマニアデビルも!!この道を夜に走るだけで十分野生動物の観察ツアーに
なりそうです。無事に「Stanley Seaview Inn」に到着しましたが,運転をしていたN氏は相当
くたびれたようです。